2022年4月19日火曜日

寒冷地(山中湖)別荘、あるある5;多雪地域

建物の設計を行う際には、5つの荷重を念頭に、構造計画を行います。
荷重とは?一言で言うと ”力” のことです。
以下の5種類が存在します。
1;地震力(地震が起きた際に建物に作用する力)
2;風圧力(風が吹いた際に建物に作用する力)
3;積雪荷重(雪が積もった際の重さ)
4;固定荷重(基礎や柱、フローリングやキッチン等、建物を構成する素材の重さ)
5;積載荷重(ピアノや、本、ソファやテーブル等の荷物や人などの重さの事です)
荷重の中の、3;積雪荷重について、説明します。




















建築基準法施行令第86条(積雪荷重)においては以下が記されています。
 積雪荷重は、積雪の単位荷重に屋根の水平投影面積及びその地方における垂直積雪量を
 乗じて計算しなければならない。
 積雪の単位荷重は、積雪量1cmごとに1m2につき20N以上としなければならない。
 ただし、特定行政庁は、多雪区域を指定し、その区域につき、
 これと異なる定めをすることができる。

20N(ニュートン)と呼ばれる単位は、なじみが薄いかと思いますが、
 kgに換算すると、20N=約2.0kgです。
イメージしやすいように、雪かきを思い出してみてください。
 30センチ角くらいの大きめのスコップで、20センチ積もった雪を雪掻きすると、、、
 0.3m×0.3m×20センチ×2.0kgf/㎡=3.6kg。雪って結構重たいです。

では、特定行政庁=山梨県がどんなことを定めているかというと、
山梨県建築基準施工細則5条の3において、
 山中湖村の積雪量は95センチ以上とされています。
 重さに換算すると積雪量95cmは190kgf/㎡以上の重さということになります。
 95センチ以上って、95センチでいいのか?もう少し見込むべきなのか?妙な日本語です。
さらに山梨県建築基準法関係条例・細則集追加版
 山梨県区域別垂直最深積雪量一覧表(H10)においては、
 山中湖村全域が多雪地域に指定されており、積雪量は130センチ、
 多雪地域においては1cmあたり約3kgf/㎡とされています。
 重さに換算すると積雪量130cmは390kgf/㎡の重さを加味することになります。
 人間の重さに例えると、80kgの男の人が1平米に約5人。
 満員電車の様な状態が屋根全体に広がっている事に。。
 が、この一覧表(H10)における数値の採用は義務ではなく、参考値であり、
 設計者の判断に委ねられています。

MS4Dで建物の設計を行う際には、何か特別な理由がない限り、
H10の一覧表にある通り、130cmくらい雪が積もり、
さらにそこに大きな地震が来ることも想定して設計した方が、良いと、考えています。
というのもH26(2014年)豪雪記録187センチという記録も残っているものですから。。 

では、積雪荷重が大きいと、何が困るのか。。。
屋根を頑丈に作る必要があります。
屋根を構成する材料には、母屋、垂木、野地板等あるのですが、
紫外線が強く、自然環境の厳しい山中湖では、庇を深くしたい。
ただ、積雪荷重の事を考えると。。
垂木と呼ばれる材料が、温暖地域の1.5倍くらいの大きさになります。
また、屋根に積もった雪の重さは、梁~柱に伝わるので、
梁も頑丈に作ることになり、さらに、力は基礎に伝達されるので、基礎も頑丈に!!
と、さまざまな箇所に影響が出るのです。


今回は多雪地域について記しましたが、
その他の寒冷地(山中湖)別荘の注意点はこちらをご覧ください。

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