2022年4月13日水曜日

寒冷地(山中湖)別荘、あるある 6-1;給排水工事(水抜き編)

 6-1;給排水工事(水抜き編) 水栓数により8~20万
 氷点下が訪れる季節の前に、家中の水道管から水を抜く作業を、水抜きと言います。
 別荘の利用方法や、利用頻度によって、水抜きのタイミング、頻度は異なるようです。
  
永住者は別荘内を暖房するでしょうから、1年中、水を抜かない方もいます。
  (建物の断熱性能にもよります。ちなみに僕らはこの2年間1回も抜いていません)
サマーシーズン利用の方は、晩秋に水抜きをして、春まで別荘に来ない方が多いようです。
オールシーズン、週末利用する方は、冬場来荘の度に、水抜き~通水をします。

水を抜くって、どうやって?

古い山荘には手動式の水抜き栓がよく見られますが、
新築には、電動式水抜栓開閉装置"らいらっく"等、ボタン操作で水抜き、通水ができる
電動装置を設置することが多いです。

手動水抜き栓MT-Ⅱ 
竹村製作所WEBサイトより



電動電動式水抜栓開閉装置
「らいらっくNRZシリーズ」
竹村製作所WEBより


MS4D山荘の例。
手動式水抜き栓。
アンティークの類にカウントされる代物。
なぜか、トイレの水、お湯、水の3種類。
古い建物で、よく、この3点セットを見ますが、
最低限で考えれば、水と湯の2つで良いかと。






 



































水抜き栓の設置位置
 水道メーターから、建物の内部を通って、各所の給水装置まで
 水道管が配管されるわけですが、建物の外においては、
 凍結深度以深に水道管を埋設することで、凍結を防止します。
 水抜き栓は凍結深度以深にて、水を抜く必要があります。(抜いた水の凍結防止)
 そのため、水道管が外部から建物内部に入った直後、
 または、建物内部に入る直前に水抜き栓を設けることが多いようです。
水抜き栓の仕組み
 水抜き栓は、水道本管~水道メーターを通って供給される水を、水抜き栓部分で止水し、
 水抜き栓以降の各給水装置までの水を水抜き栓部分で地面に浸透させることで、
 建物内のすべての水道管から水を抜きます。
 排水管に勾配を設けるのと同じように、給水管、給湯管共に、水が抜ける様、
 配管に勾配を設けることが必須です。
水抜き作業
 手動でも電動式でもどちらのシステムでも、水抜作業時には、
 各給水装置(シャワー、キッチンの蛇口、トイレ等水の出るところの事です)を
 放水状態(水が出る状態)にして、水抜き栓を作動させます。
 または、水抜き栓を作動させた後(水が抜ける状態にして)、
 放水状態(水が出る状態)にします。
 要注意なのが給湯器です。寒冷地用の給湯器には、給湯器内部にヒーターが
 搭載されており、電気が通電されていれば、自動的に凍結防止されます。
 ただ、ヒーターの力にも限界はあり、ー15度を下回る際や、
 冬の間は別荘を使用しない時などは、給湯器の水抜きもおこないます。
水抜きと同時に不凍液
 各所排水の封水(キッチン、トイレ、洗面等の排水管に少量の水が溜まっている部分)に
 不凍液とよばれる、凍らない液体を注ぎ込みます。
(青色だったり、緑色の液体で、ホームセンタなどで購入できます)
水抜き作業+不凍液の投入作業はそれほど、難しい作業ではないので、慣れれば
 ご自身でも可能ですが、給水装置の数が多かったり、特殊な給水装置を
 設置してしまうと、水抜きのたびに水道屋さんなり、水抜き代行屋さんを
 呼ばなければなりません。当然有償になります。
水抜きの仕組みと水抜き方法を別ページにて図入り解説しました。
 ”こちら”をご覧ください。

給水装置の選定
 注意すべきは、寒冷地対応の水栓金具、給水装置を選ぶことです。
 寒冷地対応とは、水抜きが可能な水栓金具の事を指します。
 輸入物のカッコよい水栓で、寒冷地対応ではないものは、NGです。
 壁付け水栓や自動水栓も寒冷地対応品は限られています。
 寒冷地対応品でも、水抜き方法が煩雑なものもあります。
 ホースが伸びるシャワー機能付き水栓や、
 タッチレス水栓、食洗器などで、煩雑なものを見かけます。

追い炊き機能
 浴槽の追い炊き機能は、設置できないわけではないですが、水を抜くのは
 若干煩雑な作業になります。翌週、ないしは、2週間後くらいに来荘するようであれば、
 バスタブに水を張り、給湯器の循環ポンプを動かし続けて、
 凍結防止する方法をとることもできます。

水抜き装置のコストですが、
 水とお湯の2つの水抜き栓が最低限必要です。
 電動タイプを採用するとして7~8万(材工)といったところでしょうか。
 ただ、給水装置の数量や給水装置の場所(お風呂と、キッチンが離れすぎ等)に
 よっては、水抜き栓を複数設置することもあり、数量が増えれば、コストも上がります。

では、水抜きを忘れてしまうと、どうなるのか?
 対策6-2(鋼管パイプ)かつ、対策6-3(電熱ヒーター)を講じておけば、
 氷点下10度以下が連続1週間も続かない限り、水道管が凍り、破裂することは
 ないと思います。が、その分電気代がかかります。
 オールシーズン週末利用の方で、冬場に毎回水を抜くのが面倒な方は、
 もっとも寒くなる2月は、来るたびに水抜きし、
 それ以外は、ヒーターをつけっぱなしという方も多いようです。

秋、水抜きをしに、別荘に行こうと思っていたが、急な用事で行けなくなったら?
 建物を建てててくださった工務店さんなり、別荘管理会社なり、水道屋さんに
 お願いすれば、対応してくださると思います。当然有償ですが。
(注意;スペア鍵を渡しておきましょう。)

一方で、水抜き栓不要の建物は作れないのですか?
といった問い合わせが多数寄せられています。
以下の様な工夫を行えば、水抜き作業なし、水抜き栓不要の別荘は成立します。が、、、。
工夫1;水道管は凍結破裂に強い鋼管を使用します。(詳しくはこちら
   (最近では、以下2,3,4の工夫を行うことで鋼管ではなく、
   (架橋ポリエチレン管を採用するハウスメーカーもあるようです)
工夫2;凍りやすい屋外露出の配管は一切採用せず、給湯器も宅内に設置します。
工夫3;床下空間や天井裏など含めて、建物全体の断熱性能を向上させます。
工夫4;凍結防止電熱ヒータ(詳しくはこちら)を地中以外の水道管全域に設置します。
工夫5;私どもが新築設計するときによく採用する
    冬場太陽光取り込み型空気循環を採用。(詳しくはこちら

ただ、万一、寒波到来時の天候が悪く、日差しが全くない状況で、
不慮の事故から、停電が長引き、、、、、怖くてお勧めはできません。
永住していれば、停電時にガスや灯油で暖をとる等の工夫で、宅内温度を
コントロールでき、水道管の凍結防止にも効果があるのですが、
週末利用や避暑地利用ですと、そうもいきません。。
また、工夫4は、電気の力で水道管を温め続けるので、
別荘を一か月間使用していなくても電気代が掛かります。
(配管の長さにもよりますが、極寒気の電気代3万円なども耳にします)

今回は 給排水工事(水抜き編)について記しましたが、
その他の寒冷地(山中湖)別荘の注意点はこちらをご覧ください。
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